iostateとiostreamのエラー処理

あるプログラムでは、ifstreamとistringstreamを利用している。で、このプログラムをg++とVC++(.NET2003)でビルドして使っている。そこにあるストリームを食べさせたところ、istringstream + VC++の場合のみ不都合が起きた。ios::eof()が拾えないのだ。

while (! ins.eof()) {
  ...
  ins.read(buf, size);
  if (ins.eof()) break;
  ...
}

のようなプログラムは当然のように無限ループに陥った。
はて。
例えば、こう書けば、無限ループには成らない：

while (ins) {
  ...
  ins.read(buf, size);
  if (! ins) break;
  ...
}

…のだけれど、ではこのループからの脱出はEOFによるものなのだろうか、それとも何らかのエラーだろうか？
std::iosにはiostate型の隠れ変数がある。ios::rdstate()で確認できるこの変数は、ストリームの状態を表すビットパターンである。状態としてはios::eofbit, ios::failbit, ios::badbitの３つが定義されている。
FIDSによれば、

badbit

indicates a loss of integrity in an input or output sequence (such as an irrecoverable read error from a file)［入出力シーケンスの完全性の喪失（復旧不能なファイルからの読み込みエラーなど）を示す］

eofbit

indicates that an input operation reached the end of an input sequence［入力操作が入力シーケンスの終端に到達したことを示す］

failbit

indicates that an input operation failed to read the expected characters, or that an output operation failed to generate the desired characters［入力操作が期待された文字の読み込みに失敗したか、あるいは出力操作が要求された文字の生成に失敗したことを示す］

とある。
また、istream::read()については、

Characters are extracted and stored until either of the following occurs:
n characters are stored;
end-of-file occurs on the input sequence (in which case the function calls setstate(failbit|eofbit)
［以下のいずれかがおこるまで文字は展開され、格納される：
ｎ文字が格納された
入力シーケンスの終端に達した（この場合、failbitとeofbitの両方のビットを立てる）］

…つまりistream::read()で!good()であった場合、eofbitとfailbitが両方立つのは仕方ない（というか正しい）ことなのだ。
といことは、結局、最初のコードが無限ループに陥るのは、read()の結果がEOFにならず、単にfail()になった場合である、という事が出来る*1。
（続く）

*1:bad()になった場合もあり得るが、今回は考えない